top of page

過去のイベント

vol.10 林未来さん スクリーンは現実の扉を閉める装置 レポート

2017.12.11 林未来(元町映画館支配人)

スクリーンは現実の扉を閉める装置〜⼈⽣の余⽩をつくる2時間〜 参加者9名

 

【振り返り】

 今回のテーマは『芸術』でした。普段『余白』や『すき間』、『価値観』や『多様性』が大切って言っておきながら林さんのお話を聞いて、自分自身が余白を作っていないし変な枠組みをはめていると感じました。後日、元町映画館で映画を観に行きました。予備知識を持たないでふらっと映画館に入り、その映画に触れる事によって世界が見える。そして、映画が終わった後、非現実から現実に戻った何とも言えない感じは林さんが話されていた『現実の扉を閉める装置』・『世界に開いた扉』なんだなと実感しました。

 何か観たいものがあって観に行く、それはそれで良いと思いますが、ふらっと入って何気なく映画を観て何か新たな発見をする。それはオンラインの世界ではなかなか体験出来ない事だと思うし、元町映画館が持つ『場』としての魅力だと思いました。本にしても、オンラインで購入出来ますが本屋さんでパラパラ眺める良さがあり、『場』としての魅力は何気ない発見だなと思います。それはある意味『MANABIYA』が目指しているところであり、誰かを目的に来てもらっても良いのですが、知らない人でも『MANABIYAに行けば発見がある』それは『場』が持つ魅力であり、そんな場にしたいなと改めて感じました。

 また、都市計画の観点から考えると、まちの中心にはいつも『娯楽』があり、娯楽の王様が『映画』なのかな~と思います(昔は芝居小屋ですかね)。 昔はどの駅前にも多かれ少なかれ「まちの映画館」があり、そこがまちの中心でした。1980年代は社会が徐々に成熟しさまざま文化が育っていった時期に、映画ではニッチな部分を求めて「ミニシアター」が全国に広がっていったのは、社会の必然のような気がします。しかし、バブルがはじけて効率化が求められると同時に、大量生産・大量消費の時代には都市は郊外化し、同時に映画は「シネコン」全盛期を迎え、駅前のいわゆる「中心市街地」は衰退すると同時に「まちの映画館」も減少していったと考えられます。そして今、オンラインで何もかも事が済みつつある世の中では中心はビットの世界に移りつつあるような気がします。それは映画一本当たりの鑑賞者数の減少が示しているように思われます。林さんは映画に携わる人として『世界に開いた扉』と話されていました。僕はまちに携わる者として『映画は社会を見つめる指標』になり得ると思いました。

 林さんは懐の深さや言葉の紡ぎかたなどとても素敵な方でした。普段から映画や本に触れてらっしゃるからだと思います。もう少し林さんの良さを引き出せたらと反省する回でしたが、それ以上に新たな発見を得た回だと思います。

                                     (藤輪 友宏)

PDFデータはこちら

 

新着イベント
bottom of page